むらふぁけ -murafake- (移行調整中)

ムラカミロキ -MurakamiLoki- nzchao.Exp Official Blog

記憶れするよ


今年の夏はひたすらグダグダするか一人旅にでも出ようと思っていたんだけれど
結局どっちも出来ずじまい。特になにしてるって訳でもないけど
なんかしらポチポチ用事が入ってすげー暇ーって感じにならない。
まあ毎年そんな感じなんだけれど、これ不思議。


最近周りに記録する人が増えてる気がする。
まあ家計簿的な物だったり簡素な日記だったり色々なんだが
年齢的にそういう所なのかもしれないが
自分はそういった記録をした事がほとんどない。
記念撮影すら付き合い以外じゃまったくしない。
記録はあくまで情報の一部にすぎないし
それだったら記憶の中で彩られた覚えてる範囲を
覚えてるだけでいいではないか、と思っていたが
それ以上に人間の記憶が曖昧すぎる。
だから記録って大事なんだろうな。



ちょっと前の話。
久々に日雇い派遣のバイトで金も入ったので友人らと飲みに行く事になった。
場所は面子的に集まりやすい八王子。
まあ金に余裕もあったんでしこたま飲んで
ものの見事な酔っ払いが一丁出来上がり。
とりあえずその場は解散の流れになって、
自分と帰りが同方面の友人と二人で中央線に乗り込んだ。
酒の回った下らない話に花を咲かせながら電車は進み
立川駅でその友人は降りていった。
後は武蔵小金井駅までそのまま電車に揺られ
家に帰ってベッドでグッスリ眠るだけ、のはずだった。


目が覚めると電車は駅で停車していた。
とっさに乗り過ごしたと思ったのか
「あ、降りなきゃ」と思ってホームへ降りた。
視界はぼやけてハッキリせず、頭もボーっとして
まともな思考が出来ない。
ただひたすら眠かった。ここは何処だろう。
ぼやけた視界の節々から、なんとなく
「ああ、国立か」と思った。
とにかく半端なく眠かった。このまま電車に乗っても
乗り過ごすだけだ、ここでちょっと寝て行こう、そう思った。
南口(多分)の改札を抜けて道を渡った先に植え込みがあった。
植え込みが段々近づいてくる。地面も段々近づいてくる。
ああ、おやすみなさい。


「お客さん、お客さん」
「え、う、あはい」
「着きましたよ」
ええ、ああ、あれ、どうしたことだ、ここはタクシーの中ではないか
運転手が若干心配そうにこっちを見ている。
「着きましたか」
「はい、大丈夫ですか?」
「ええ、まあなんとか」
「八千円になりますけど、大丈夫ですか?」
メーターを見ると確かに八千と端数が表示されている。
「あー、そんなにいきましたか」
「いきました」
尻ポケットに突っ込んだ財布に手を当ててみる。
あった。よし、抜かれてはいない。問題は中身だ。
財布を開くと五千円札が一枚、千円札が四枚。
確認するやいなやひっこ抜くとそのまま運転手に渡した。
「はい、おつり」
「どうも」
妙に冷静だった。
タクシーを降りるとそこは武蔵小金井の駅前だった。
なんだか狐につままれたような、夢から覚めたような
そんな不思議な感じがした。


一服しながらボーっとしていると
どうせだったら家の前まで送って貰えばよかったなあとか
何所から乗ったのかだけでも聞いときゃよかったなあとか
色々思い浮かんだのだがそれはもう後の祭りだ。
何処から乗ったのか、それば一番気になるといえば気になる。
最後の記憶は国立駅だが、国立-武蔵小金井で八千円はかからんだろう
とするとそこから何所かへ動いたのか
そもそもあそこは国立駅ではなかったのか
運転手に一杯食わされた可能性もあるが、
あの払えるか心配そうだった感じを見るとそれは薄い気もする。
もう一つ気になる点としてはどうやってタクシーに乗ったのかだ
自分は一人でタクシーに乗る事はまずないので、
幾ら酔っ払っても帰れないからと言ってタクシーに乗る事はない。
とすると、寝てた酔っ払いをタクシーに乗せてくれた親切な人がいたか
もしくは誰かと一緒にいたかだ。
しかしそもそも行き先を「武蔵小金井」と指定したのは誰なのだ。
うーん、まったく思いだせない。
自分は一体何処で誰と何をしたんだろう。


幾ら考えた所で真相は夢の中だ。
しかし一つハッキリした事もある。
バイト代は全てスッカラカンになっていたと言うことだ。