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ムラカミロキ -MurakamiLoki- nzchao.Exp Official Blog

金欠で献血

この間献血をした。
別に自分が献血をするのは珍しい事ではない。
実は結構していたりする。
初めて行ったのは確か高校1年ぐらいの時
所要で立川へおもむいた時に友人に誘われた。


献血しようぜ!献血献血!」


特に断る理由も無かったので
何故かハイテンションなその友人に連れられて
駅ビルの最上階献血コーナーへ行ったのだが
そこで驚くべき状況に出会ってしまったのだ。


献血をするだけで
ジュース飲み放題、お菓子食べ放題。
という事実。


そんな馬鹿な。当時の自分にはかなりの衝撃だった。
そして思ったのだ。なんて素晴らしい世界だと。
自分の血液にこんな価値(利用法)があったなんて、と。
200ml(当時)の血を差し出すだけで
無限大のジュースが飲めると考えれば、まあ結構御得である。


それ以来献血をちょくちょくするようになった。
食べ放題飲み放題とはいかなくても
大体の場合献血をすれば最低紙パック一個ぐらいの
飲み物はもらえるのである。
なので献血を見かける度に


あ、献血やってる
  ↓
そういや喉渇いたなあ
  ↓
お金ないなあ
  ↓
よしやるか


という思考回路が働き
スルスルと足取りが吸い込まれて行くのである。
飲み物が無料(?)でもらえる上、血の気が抜けて
人助けにもなるんならまあ良いではないかという
ある意味結果論的な考えでもある。
これが道徳的にどうなのかは知った事ではないが
一昔前の貧乏学生は血を売って日銭を稼いでいたそうだし
まあ問題無いだろうと。


そんなこんなでポイントカードがごとく
着々と献血手帳をスタンプで埋めて行った訳であるが
最近になってちょっとした問題が出てきた。


なんだか、最近注射が怖いんである。


自慢じゃないが自分は昔から注射は平気な性質の人間で
子供時代の予防注射でも泣いた事がない。
が、不思議と最近はいざ注射となると
怖いと言うか嫌だというかなんだかなぁ
な気持ちが湧き上がるのである。


献血ルームに入りいざ献血


「はーい楽にしてくださいねー」


あぁ・・・


ガサガサ(密閉された献血器具を取り出す)


ああぁ・・・出たよ・・・来るよ・・


シュルッキュッ(ゴムバンドが腕に巻かれる)
「はい、軽く握って下さーい」


あああ・・血管さがしてるよ・・・
いや、ちょっと、無理だって
太すぎるって、そんなおっきいの入んないから
無理だって、無理無理無理・・・


「いきますよー」


あああ嫌、イヤああぁぁぁ!!
私の中に入ってこないでぇぇぇえええ!!!


プスッ


「はーい、そのまま楽にしてて下さいねー」


く、クスン・・・汚されちゃった・・・
汚されちゃったよう・・・




みたいな感じである。(他意は無い)
刺された後は只、抜けて行く自分の赤き血潮を
見送りながら、百舌のはやにえが如く
押し黙っているだけである。
あまりの自分のその様子に
「大丈夫ですかー?気分悪いですかー?」
等と声をかけられる事もしばしばで
とりあえずその場は


「はは、大丈夫デスヨ、フッ」


と、冷静な振りをして見せるが
実際クールなのは顔色だけという有様である。


更にこの献血、注射を撃つ人の良し悪しによって
痛みやらなんやらが変わるのである。
うまい人に当たれば良いが、下手な人に当たると性質が悪い。


プスッ


イタッ・・ちょ、ちょっとそこ痛いっすよ


「あれ、あれ、おかしいな・・」
グリグリグリグリ


ちょっとちょっと痛いって
刺したままグリグリして血管探すの止めて・・
痛いってば、痛いよ、いや「おかしいな」じゃないから
おかしいのは寧ろアンタでしょうが


(やっとこさ血管に入る)
「あ、大丈夫ですね」


いや、そりゃあなたは大丈夫でしょうけど・・・


「ちょっと後で青くなっちゃうかもしれませんねー
 針太いんで。」


いや、お前、つーかてめえ、
それは針のせいじゃないだろ、
明らかにてめえのせいだろうが!


みたいな時もあった。
この場合たちが悪いのは、献血は普通の注射と違って
針が刺さりっぱなしなので
刺さっている間中痛みが持続する所にある。
まあともかくそれでも昔は腹こそ多少立てども
別段平気だったのだが、最近はそうもいかない。
果たしてどうしてこのような心境の変化が起きたのか
解らないが、そういえば同じく注射が苦手だという友人に
「なんか注射が刺された瞬間に口の中に鉄の味が広がる気がする」
と言っていた奴がいたが、流石にそれは錯覚だろう。
刺さった瞬間に針の成分が溶け出して
口にまで回るはずが無いし
なにより元から血液の主成分は鉄である。
せいぜい思わず歯を食いしばったあげく
歯茎から出血したとかそんな所だろう。
もしくはただの思い込みである。


だがしかし、人間というのはこの思い込みだとか
想像だとかそういう部分が結構重要なんであって
「病は気から」だとか「プラシーボ効果」のように
実際に身体に影響を与えたりする。
そういえば、最近は同じように怪談系にも
とんと弱くなった気がする。
これも注射と同様で、昔は怖い話を聞かされても
「へー、で?」
みたいな感じであったが、最近は俗に言う
「背筋がゾクゾクする」という感覚が
リアルに現れたりするのである。
もしかしたらこれらは全て想像や思い込みが
原因なのかもしれない。


しかし、一般的に想像力は子供の方が豊かなはずで
普通は「子供の頃は怖かったけど・・・」
のように大人になるにつれこういう感覚は
無くなり、平気になっていくモノである。
逆に子供の頃は無くて大人になるにつれ
豊かになるものと言えば、一つに経験があるだろう。
とすると原因はある経験に基づく思い込み
所謂トラウマのような物にあるのかもしれない。


が、自分にそのような心あたりはまったく無いんである。
うーむ・・・
やはり人間、自分自身の事は一番よく知っているようで
実際よく解らないもんである。